House with thrust
O邸 まわる住まい

建築場所:東京都目黒区
用途:住宅(リノベーション)
構造:RC造/地上18階
延床面積:62.3㎡
設計:TA+A + 大原智史 + 大原丹音
テキスタイルデザイン:安東陽子デザイン
安東陽子、山口かすみ
施工:古賀造
写真:大倉英揮 / Kurome Photo Studio
プロペラのような推力のある居住空間
目黒区にある一室の改修である。子供の成長や生活のリズムに合わせて各々の適度なプライバシーが保たれた落ち着いた空間で暮らしたいという要望があった。まず既存の地型となる定型的な2LDKの間取りを大きく変更せずに生活の機能だけを整え、次に南側の4.8m×6.0mの空間に対してバルコニーの採光を全幅で取り込むように引いた玄関からの“対角線”を拠り所にしながら各諸室の緩やかな分節を試みた。
左官の奥行きの深い光沢は取り込んだ光を周囲に拡散する。1.90mの高さを与え天井から切り離したその“線“は、動線になる部分を切削し、機能を内包する部分を屈曲し、子供部屋の使い方や時間ごとの状態に変化を与える部分を回転扉とすることで、「家具的なエレメント」として振る舞い、あたかも空間の中心で全てを司るかのように複数の性質を与えた。
キッチンの作業台兼収納を廊下の中央に配置し通り抜けることのできるキッチンが“回廊”として玄関とLDを接続する。まるでプロペラの遠心力の中にそれぞれの機能や空間が巻き込まれ、自然と子供たちが歩き回り、運動をとめ、今度は集中できる場所を自ら選べる、または家族全員の運動が同調し収束したときに、みんなが自然とひとつに集まれる、そのように自由でひとつながりの、だけれども各々が適度に独立し過ごすことのできる居住空間が生まれた。
















